はじめに~旅行準備

私が初めてウズベキスタンという国名を知ったのは、Twitterだったと思う。青いタイルで覆われたモスクの写真がRTで回ってきて、写真を撮りたい場所だなと思った。その次に見たのは、おはるさんという方のTogetterだった。

togetter.com

もともと旅の体験談が好きで、エッセイ本や旅行ブログ、フォートラベルの旅行記も行く行かないに関わらず楽しく読んでいる。とりわけこちらの旅行ツイートは、当時4歳のぼんくんの振る舞いや周りの反応、そしておはるさんが撮られた写真と、すべての目線が優しく潤っていて旅の魅力が詰まっていた。

私は成人後の海外旅行は4回しか実施しておらず、英語力も底辺なので、マイナーな国への恐れは大きい。しかし、このまとめでウズベキスタンという国へのハードルがぐっと下がり期待値が大幅アップになった。調べるうちにマンガ『乙嫁語り』の舞台の地域、イスラム圏・砂漠・旧ソ連圏という未知の要素に大変心惹かれていた。
そわそわと航空券や現地での移動手段をチェックしはじめ、日程を決めて実行にいたった。準備の約半年間もとっても楽しんだ。

・旅程
休みを長めに取れる状況だったので、世界遺産サマルカンド・ブハラ・ヒヴァの三都市と国際空港のある首都タシケントの4都市をすべて回ることとした。

飛行機のスケジュールにより、7泊9日に決定。この日数だと隣国トルクメニスタンの地獄の門まで観光する方も多いようだが、1人500ドル~という高価さと無理したくないという方針により、ウズベキスタンのみに留めた。

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当初は、タシケントサマルカンド~ブハラ~ヒヴァと東から西に行って最後に首都タシケントに帰る旅程を思い描いていた。現代的な首都から異国情緒の強い地方都市に向かって気持ちを盛りあげたかったのだが、どうも都市間の移動方法と折り合いが悪い。
特に、ブハラ~ヒヴァが問題だ。手段は夜行列車か長距離乗り合いタクシーの二択で、6時間以上もの車移動(しかも昼間に)はしんどいだろうとタクシーをはずす。しかし、夜行列車も問題点がある。一番上のクラスで2人個室なのだが、性別指定ができないようだった。ウズベキスタンは男女の接触に繊細な地域なんじゃないのか? 次は4人個室なんだけど女性が来るとは限らない。出発時間が夜中の2時とかなのもしんどいし怖い。けれど、車はイヤだから列車しかない。

迷いながらもホテル等の予約を始めたが、現地の旅行代理店に列車のチケットについて質問メールを送ったとき「この列車に乗りたいんだけど、夜中の駅の治安はどう?」と尋ねてみたら「東~西に行くよりも、西~東をすすめてますよ」という返信をいただいた。まじかーと思いながら、東から西というこだわりを捨てて旅程を組みなおしたら、これがさくっとハマりました。一番の関門のブハラ~ヒヴァ(ウルゲンチ)間に曜日限定の国内便があったことが大きかった。夜行列車にロマンを感じない人間なので、迷わず飛行機に切り替える。移動時間も短縮できるしね。
AdvanTourさん、質問メール送ったのに利用しなくて申し訳ない。時刻表や日本語ページなど大変ありがたかったです。

 ・日本~ウズベキスタン国際線
関西空港からだと、ソウル乗り継ぎの大韓航空のタイムスケジュールがちょうど良かったので、公式サイトで購入。座席指定が即時できて、オンラインチェックインもできて便利便利。モニターも日本語あるし、帰りのタシケント~ソウル間では日本語できる客室乗務員がいらっしゃいました。

 ウズベキスタン国内線
トラブルがあったときに公式サイトが一番安全というモットーにより、ウズベキスタン航空の公式サイトから購入。3ヶ月前だったが、エコノミーが売り切れかかっていた。観光シーズンは要注意かな。使えるクレジットカードはVISAのみです。
当初は前述したとおり東から西というルートだったので、ウルゲンチ(ヒヴァ)~タシケントで買っていたが、これをキャンセルしてタシケント~ウルゲンチ(ヒヴァ)、ウルゲンチ(ヒヴァ)~ブハラを購入。払い戻しは2、3日でクレカの支払い履歴に反映され、座席指定も45日前から可能です。

 ウズベキスタン国内列車
購入方法は3つある。前日や当日に現地で買う、日本出発前にネット経由で現地代理店で買う、公式サイトで買うのどれかだ。
まず、現地購入をはずした。列車が一日に数本な上に、観光シーズンと人気の上昇により満席で買えないケースが増えていたからだ。体験談ではネット経由の現地代理店購入が多かったが、宿泊先に届かなかったという口コミや手数料もあって踏み切れず、こちらのレポを参考に公式サイトでアカウント登録して購入。途中でキリル文字だけのページも出てくるが、スケジュールがわかっていたので間違わなかった。発売日は40日前で、使えるクレカはVISAのみ。ブハラ~サマルカンドサマルカンドタシケント間は、どちらもビジネスクラスで1500~2000円だった。チケットはアカウントページからPDFでダウンロードできるが、紙に印刷して持っていかなければならない。

 ・現地ツアー
せっかく砂漠のある国に行くのだから、砂漠の中に立ってみたい。その希望を叶える手段はないかと調べ、ヒヴァから古代ホレズム王国の遺跡に行くツアーがあることを知る。
しかし、女1人とドライバーさん(おそらく男性)で、人が少なくケータイもつながらない場所に行くのはリスクが高い。現地の観光案内所でも手配してくれるようだが、ネット経由の事前予約ができないのと安価は怖いなと考えて、現地の旅行代理店を探した。一番安いところで110ドルだった。安全対策とは他人を疑うことでお金がかかる。なんとも理不尽だが仕方ない。
けれども、問い合わせメールの返信も迅速丁寧だったこの代理店、いつのまにかウェブサイトが消えていた。そんな馬鹿なとなったが時間を置いても復活せず、おお…本申込みしなくて良かった…と思いながら、別の手配方法を探すことになった。

すると、現地ツアーを仲介しているヒヴァのホテル「メロスB&B」を発見する。ホテル経由ならばトラブルにはなりにくいんじゃないか。しかも評価やロケーションが良くて候補に上げていた宿じゃないか。迷う理由なく、宿泊とツアーを予約しました。
遺跡は、カラと呼ばれる城の跡だ。3つから7つまで選べるのだが、考古学者でもないので絶対に飽きるだろうとトプラク・カラキジル・カラアヤズ・カラの3つを回るツアーを選ぶ。代金はなんと45ドル! 現地での手違いはあったけれど、ドライバーさんが親切なのもあって私の目的は達成されました。でも、観光手配はこのメロスB&Bに限らず一般的らしいので、他のホテルでも問い合わせてみたら良いと思う。
ちなみに、アヤズ・カラ遺跡の近くにユルタという移動式住居があって、食事や宿泊ができる。一泊すれば満点の星空や地平線からのぼる太陽が体感できるなと迷ったが、無理はしないという方針により昼食のみいただくことにしました。

 ・ホテル
すべてBooking.com経由で予約。送迎タクシーなどを手配したかったので、サイト経由の連絡は安心できた。英語メールがダメな宿はなかったです。私のチェックポイントは、個室であること、現地相場からするとやや高めでも良いこと、しつらえが素敵なところ、ビジネスホテルはイヤ、観光地近く、サービスの融通が効きそうなところ。
口コミを見ていると、ウズベキスタンの宿は宿泊以外のホスピタリティが高めでした。サービスを売っている職業で属人的な要素に賭けるのは不安な気持ちもあったが、結果的にこのホスピタリティに大変助けられました。このサービスにお金支払わなくていいんですか? 大丈夫? って思ったりもした。

宿泊したホテルリストです。

www.booking.com
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サマルカンドの宿泊先が2つあるのは、両方泊まりたい…選べない…というわがまま心によるものです! 一人旅、やりたい放題!! どこの宿も自信を持っておすすめできます。それぞれの感想はレポ内に書いていきます。

 ・持ち物
でかいスーツケースを持っていないので、いつもどおりDMMでサムソナイト94Lをレンタル。現地の舗装状況が良くないからバックパックおすすめとも聞いたが、物価の安さを良いことにタクシー利用のドアtoドアがほとんどだったので困らなかった。お土産いっぱい買えました。帰りでも重量は20㎏行かなかった。

特別な持ち物としては、街が停電したというレポを読んだので懐中電灯と、油が合わない場合があると聞いて胃腸薬とレトルトおかゆ(結局使わなかった)。乾燥しやすいのでリップクリームはもちろん、ハンドクリームを多めに。筋肉痛を癒やしてくれた湿布、靴ずれ箇所に貼ったバンドエイド、何にでも使えるウェットティッシュは神。iPadは会計に役立った。陶器をおみやげにするためにプチプチも。

通信手段には、カバー範囲の広いMTXのSIMを日本で購入しアクティベートして持っていった。1Gまでの定額プランで、地図はフル稼働、Twitterはかなり見て、写真も動画もアップして、帰ったときは残り300MBでした。けれど、電波は良くなかったです。室内は圏外になりやすい。完全に困ることはなかったけど、確実なのは現地携帯会社のSIMカード購入でしょう。砂漠のど真ん中でもドライバーさんのケータイは通じてた。また、宿のWi-Fiも総じて良くなかった。

通貨について。日本円から現地通貨スムへの両替ができず、現地ではスム払い限定と聞いており、日本でかなりの金額を米ドルに替え、現地でほぼそのままスムに両替してもらった。でも、建前でした。タシケント国際空港でも他の観光地でも日本円両替ができる店があったし、土産物屋やホテル、タクシー運転手もドル払い可能でした。無理なのは飲食店や小さい雑貨店くらいかな?
それと、商品に値段が書かれておらず価格交渉が多々発生するのだが、私は旅の終盤になるまでスムでの相場がつかめずいちいちスマホで為替変換していたし、ゼロの数も多いのでスマホで値段を表示して確認してもらった。先方も同じようにスマホの画面を見せてきます。細かい値切りは、ドルよりスムがやりやすいです。

 ・予習
図書館で以下5冊を借りて読みました。読んだ順番に紹介。 

ウズベキスタン・ガイド: シルクロードの青いきらめき

ウズベキスタン・ガイド: シルクロードの青いきらめき

 

 初心者向けながら、歴史や文化が写真とともに紹介されている。自分が行けない地域、リシタンやアフガニスタン国境沿いの遺跡の紹介がありがたかった。ただ地図は載っていなくて観光スポットも現地語で書かれていないなど、旅行ガイドとしては足りていない。 

ウズベキスタンの桜

ウズベキスタンの桜

 

元在ウズベキスタン大使の滞在記で、日本との交流行事などへの尽力が大使らしかった。日本人誘拐事件のときの日本政府の対応に、我が国のいつもながらの狭量を実感する。語り口が大変古風です。

すぐわかるイスラームの美術―建築・写本芸術・工芸

すぐわかるイスラームの美術―建築・写本芸術・工芸

 

モスクやマドラサなどの建築物を見るにあたり、成り立ちやチェックポイントを知りたかった。ウズベキスタンに割かれたページは少ないが、イスラム教の教義の説明から始まるので理解しやすい。イスラム世界では写本芸術が盛んなことを初めて知った。 

世界の美しいモスク

世界の美しいモスク

 

写真集だけど、上の『すぐわかる~』と同じくモスクの特徴を知りたかったので、巻末の脚注を見ながら逆引きして写真を見た。イラクなどの行きにくい国に歴史的なモスクが集中しており、イスラム教をとりまく現状を考えてしまう。この先絶対に行きたい場所にアルハンブラ宮殿が加わる。

鉄板旅行ガイド!ですが、実は読むのは初めてでした。有名すぎて逆にどうなのという偏見があったんだけど、回りやすい順番や施設名の現地語表記など旅行者にとって非常に使えました。手のひらを返して感謝を捧げます。コピーして持っていって、現地で一番参照しました。

 

7泊9日の内容です。

4月16日(火)午前 関西国際空港~韓国 仁川国際空港
        午後 韓国 仁川国際空港ウズベキスタン タシケント国際空港

4月17日(水)午前 タシケント空港~ウルゲンチ空港~ヒヴァ
        午後 ヒヴァ観光

4月18日(木)午前 カラ巡り
        夕方 ヒヴァ観光

4月19日(金)午前 ウルゲンチ空港~ブハラ空港
        午後 ブハラ観光

4月20日(土)終日 ブハラ観光

4月21日(日)午前 ブハラ~サマルカンド
        午後 サマルカンド観光

4月22日(月)終日 サマルカンド観光

4月23日(火)午前 サマルカンドタシケント
           タシケント観光
        夜  ウズベキスタン タシケント国際空港~韓国 仁川国際空港

4月24日(水)午前 韓国 仁川国際空港関西国際空港

世界遺産のヒヴァ・ブハラ・サマルカンドは二泊ずつにしている。2日あると、天候や体調に不備があっても流動的に動ける。タシケントは都会だから最終日のちょこっと光で十分ということにした。
そして、旅程の項目で書いた通り、東~西の順は交通の便が悪くて西~東に切り替えたのですが、このルートはだんだん異世界から都会になっていって、現実に戻っていく…旅が終わっちゃう…と寂しくなった……おみやげもヒヴァのほうが安いので、可能ならばサマルカンド~ブハラ~ヒヴァの順がおすすめです。