富士フィルムX-S10を買いました

6年目に突入したPENTAX K-S1からの乗り換えです。

高い買い物なので去年から検討しまして、決めた理由はこの辺りです。

・もう一眼レフの重さとでかさはイヤ

・センサーはフルサイズじゃなくていい

富士フィルムの色味が好評だよね

・2019年2月に出たX-T30かな~えっ2020年11月に新機種発売!?しかもボディ内手ブレ補正ついてる!!

・このX-S10は15-45mmのレンズキットが安いけど、さわってみたら電動ズームの使い心地が気に食わない

・どうせ一番使うレンズは標準ズームレンズなんだから、高くても18-55mmのレンズキットにしよう

・今までも保証に助けられてきたから5年保証は必須

・故障やメンテナンスのときに宅配は面倒だから、実店舗に持ち込みたい

・店舗数が多くて、価格も最安値に近いカメラのキタムラで買おう

 

FUJIFILM ミラーレスデジタルカメラ X-S10 ボディ F X-S10 ブラック

FUJIFILM ミラーレスデジタルカメラ X-S10 ボディ F X-S10 ブラック

  • 発売日: 2020/11/19
  • メディア: エレクトロニクス
 

 こうして2月28日、ニューカメラちゃんは我が家に到着し、3月3日に本格的な撮影に行ってきました。もともとの腕前がへっぽこな上に、機能が多すぎてメニュー画面の言葉の意味も把握できてない状態です。

以下は、そんな人間による写真とカメラ難しいよねをまとめたレポです。
被写体は、京都市京セラ美術館北野天満宮の梅苑カフェ「ウサギノネドコ」です。

 

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京都市京セラ美術館

京都市京セラ美術館は1933年に開館し、今までも何度か訪れた場所だ。ネーミングライツと大工事を経て2020年春にリニューアルオープンしました。私は美術鑑賞に熱心ではないので、見たい展示があるときに行こうと思ってたら「平成美術~うたかたと瓦礫(デブリ)」という企画展を知った。概要の一部を引用する。

「うたかた」と「瓦礫(デブリ)」をキーワードに、経済的な停滞と未曾有の災害に繰り返し見舞われた平成の時代を、椹木の視点にもとづきアーティストたちがどのように時代と状況に応答してきたかを探ります。

現代アートに詳しくなくても、社会的な事柄と紐付いている内容だったら面白く見られそうだった。この記事では展示内容も紹介しているが、ほんの一部だし写真主体だ。全体のレポートは美術手帖の記事が詳しい。

bijutsutecho.com

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京都市京セラ美術館の正面エントランス。以前は、この黒い屋根の下の扉が入り口になっていたが、今は完全に封鎖されて地下に入り口ができた。

入ってチケット売り場を抜けると中央ホールに出る。白い壁に木の床の大きな空間だ。

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うーん暗い!これは失敗。

ニューカメラを使うにあたって私は目標をひとつ設けた。

「補正しなくても公開できる写真が撮りたい」

今どきの写真は補正が前提になっている。私もPhotoshopを長年使っているし、多少失敗してもあとでいじればいいか、という気持ちで撮ってきた。

しかし、ニューカメラの特徴のひとつは「JPEG撮って出し」ができることだ。私だってソフトの力を借りずに良い写真が撮りたい。だいたい補正は面倒くさい。したがって、この記事に載せる写真は色味や明るさ等の補正はしないことにする。

ちなみに今の写真を補正するとこうなる。

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100人中100人が、この写真のほうが出来が良いとわかりますね。

あっ補正は無しって言ったけど、トリミングや傾き補正は有りにします。後生なので…それでもこの写真、構図自体がよろしくないが……広くて難しかったんだ。とにかく、進みます。

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「平成美術~うたかたと瓦礫(デブリ)」は新しくできた「東山キューブ」で展示されている。タイトルデザイン、格好良い!

来てから知ったのだが、展示はほぼ写真撮影OKだった。SNSなどで話題になったほうが良いからかな。なので、気に入った展示を載せていく。

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入ってすぐの「平成の壁」

平成に起こった社会的出来事とアートのトピックが年表のようにチョークで書かれて、新聞記事や写真と一緒に掲示されている。

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反対側から見ると巨大さがわかる。平成の30年間を俯瞰する装置のようだ。昭和生まれの私にとっては、そのまま自分の記憶でもあった。

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「水中エンジン」再制作プロジェクト

福島第一原発事故に誘発されて作られた、平たく言えば「何がどうやって動いているのかもわからない装置」だ。アートは本来ならそれ単体で鑑賞したほうがいいのだろうが、この企画展は、説明書きとセットじゃないと内容や意図がわからないし、読むことで鑑賞の深みが増していく。

この写真も暗い!白色を撮るの難しいんですよね。本当はホワイトバランスをあわせないといけないのだが、オート頼りです。

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「突然、目の前が開けて」

武蔵野美術大学から、壁一枚へだてた場所にある朝鮮大学校に向けて架けられた橋だ。この狭い階段をのぼっていくと、両壁がなくなって視界が広がる仕組みになっている。現地の航空写真や実際に橋を架けた際のアンケートも展示されていた。

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「東北画は可能か?」

東北芸術工科大学のプロジェクトで、震災前と震災後に分かれている。巨大な絵画の下には、個々の作品と描いた経緯が展示されている。「プロジェクトを白紙に戻してほしい」「アートなんてやっている場合じゃない」「今はなくなった風景を描いた」といった言葉も含めて、傷口をそのまま見せられているようだった。ここに載っていない三枚目の巨大画「東北山水」は水を使う覚悟と迫力に圧倒された。検索したら画像が出てくるので、ぜひ。

展示の写真はこれで終わり。

 

美術館内部の格好良い場所の写真に行きます。

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新館と旧館のつなぎ目。手前の窓から入る日差しに惹かれた。旧館部分の暗さをもっとコントラスト豊かに撮りたかった。

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その旧館部分の回廊。大理石の柱に電飾が巻いてあるのはあまり好きじゃない。

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旧館部分の2階階段ホール。ステンドグラスとランプがステキ。左右対称の写真がそこそこうまく撮れた。水準器機能はもっと使いこなしたい。

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この階段の下に旧館時代のエントランスがある。今は扉が閉じられているから、見るだけの場所だ。

リニューアル後の美術館については、ベンチが多めに設けてあったのが良かった。アート鑑賞は、巨大なエネルギーを浴びるようで疲れやすいから休憩したくなるんですよ。ロッカーも玄関だけじゃなかったし、スタッフの制服もジェンダーレスで動きやすそうだった。

この日は、京都染色美術展も鑑賞。素人目にも、超絶技巧でセンスにあふれる着物や帯を山ほど見ました。

 

さて、富士のミラーレスの長所のひとつは、フィルムシミュレーションという機能だ。写真の色味をフィルム調に変化した状態で撮影できる。他社製カメラでもアートフィルター等いろんな名前で備わっているが、富士のフィルムシミュレーションは、自然で雰囲気があって非常に評判が良い。私も買ったからには使いこなしたい。
しかし、10種類もある設定を被写体や天気等にあわせて適切に選べる自信はゼロだ。現場で撮影しては設定を変えてまた撮影して、は死ぬほど面倒くさい。まず名前や特徴が覚えられないし。
そこで調べてみたら「フィルムシミュレーションブランケット」という機能を発見した。1回の撮影で、登録しておいた3種類の設定の写真を同時に残せる。この日はいったんこの機能で撮って、大きな画面でチェックして気に入ったフィルムシミュレーションを見極めていくことにした。
選んだのは「PROVIA/スタンダード」「Velvia/ビビッド」「クラシッククローム」だ。どう違うかを並べる。

平安神宮大鳥居です。

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PROVIA/スタンダード
青空と朱色があざやかだ。

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Velvia/ビビッド
青空はさらに青く、鳥居は朱より赤に近付く。

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クラシッククローム
レトロな雰囲気は出ているが、この被写体には似合っていない。

この中から1枚選ぶなら、最初のプロビアではないだろうか。人間の目に近い色合いだと思う。ビビッドは色の薄い被写体をはっきり見せたいときに使いやすそう。

実際、ここまでの写真はおおむねプロビアかビビッドを使っているし、今後もレギュラーラインナップになるだろう。

 

見終わってから、美術館内のカフェ「ENFUSE」でお昼を食べた。

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人気のおかずプレート。いろんなものちょっとずつ食べるの幸せだよね。ヘルシーでした。

この写真はビビッド。これがクラシッククロームになると……

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食欲がなくなる色味だな…フードはビビッドがいいな……。

なお、ニューカメラにはRAW撮影も備わっていますが、補正をしたくないのにRAWで撮る必要性とは…JPEGでも1枚15MB以上になるのに…これ以上SDやHDDを圧迫したくない……ので、使っていない。タッチパネル機能もついているが、手指が無駄に当たってイライラするのが見えているので速攻でオフにした。撮影時は手ブレを防ぎたいのでEVFのみだが、光学ファインダーからの移行なのでEVFの色味やもたつきに慣れない。

今までの経験でわかることもあるが、とにかく、適切な使い方のための取捨選択が難しい。

その最たるものがシャッタースピード・絞り・ISO・露出補正だ。今までのカメラだと「この明るさならこれくらいの数字」等がインプットされていたが、システムが変わったのであまり当てにならない。

考えたすえに、いったんプログラムモードで撮影して適切な数字を知ってから調整していくことにした。といっても複雑な操作をする気はあまりない。マニュアルで撮りたいとかはまったく思わないし、マニュアルフォーカスも使ったことがない。だいたいは、手ブレを防ぐためにシャッタースピード優先だ。

新しいカメラにならではの良い使い方があるのかもしれないが、とりあえず今までを踏襲している。

 

続いて、北野天満宮に向かった。

 

  北野天満宮

www.kitanotenmangu.or.jp

この季節といえば梅だよね、と被写体に選びました。 全国の天神さんの総本山で、学問の神様、菅原道真を祀っている神社だ。

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一の鳥居には「梅苑」ののぼりが出ている。

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参道に入ると、左右に撫で牛が並んでいる。抗菌・抗ウイルス加工に加えて消毒液も置かれているので、頭と背中を撫でました。

天気が良いので、日向が白飛びしている。これはクラシッククローム。黒がやわらかくなっている。

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楼門。青空も門の木の色味もぱきっと出ている。

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このご時世なので、手水は花手水に。ここにも牛ちゃん。

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縦に伸びた枝と水面に並んだ花が両立する構図は難しいな。これはビビッド。水面の黒色が深くなって花が際立っている。

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星欠けの三光門。格好良い名前!と調べたら由来も格好良かった。

寺社仏閣って雰囲気を出すのが難しいと思っているのだが、木の黒さがしっとり出てて威厳がある。空と屋根の境い目も白飛びしてないし。

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クラシッククロームで本殿。古さがよく出ているが、右上に梅の枝が見切れているのでマイナス50点だな……

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本殿前の梅です。ピンクと青空、いいですね。

お参りをすませて目当ての梅苑へ行く。入場料は大人1000円。梅の咲き具合は、前日の風雨で後半戦に入ったなという塩梅だった。

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入場料に含まれるお茶菓子とほうじ茶。受付で「できれば持ち帰ってください」と言われましたが、ほうじ茶のポットと床几を見ると座って食べたくなってしまい……だんごも売ってる!!一緒に食べたい!と近寄ったら持ち帰りのみでした。そりゃそうですね。混雑は空いてるほうだと思いました。

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夜のライトアップも行われる。あちこちのライトもあるが、このように梅の枝にかけられたランプに一個一個ろうそくを灯していく。めっちゃ手間がかかりそう!すごい!!

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天気が良いので、どう撮っても素晴らしい写真になりますね。ボーナスタイムだ。

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全景はこんな。三メートルほどの高さの見晴らし台が設けてあって、そこからの景色だ。桜のように一面の花ではないからこそ、色味の違いとまばらさが春の訪れを感じさせる。

北野天満宮はこれで終わり。鉱物カフェ「ウサギノネドコ」に向かう。

ウサギノネドコ

usaginonedoko.net

SNSでも人気のおしゃれカフェで、今回が初来店。カフェのほか、宿泊施設とショップも併設している。

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京町家を改修した作りだ。

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店内のディスプレイも個性的。

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期間限定の桜の水晶パフェを注文した。まず見た目がかわいい!!ローズクォーツに見立てたゼリーに、桜味のアイス、キウイ、桜味のお餅、ウグイス豆と盛りだくさんで食べごたえありました。

 

店内を別のフィルムシミュレーションでも撮ってみる。

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クラシックネガ。低彩度とハイコントラストで落ち着きが出る。

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同じくランプの光も優しい色になる。

 

ここでこの日の撮影は終了。

バッテリーが弱いのに充電用ケーブルを忘れてひやひやしたが、20%まで減ってもがんばってくれた。次回の撮影ではもっと機能を使いこなしてまいりたい。ここまで読んでくださってありがとうございました。