京都みなみ会館の写真いっぱい

2023年9月30日、京都市南区にある京都みなみ会館が閉館しました。

私は旧建物の時代から通っていたので、大変にショックです。原因は、経営の改善が見込めないからだそうで、どうにかならなかったのかという憤りがもっとも大きいのだけど、その辺の重すぎる思いは、最後のほうに書きました。

閉館当日には、ファン有志のチラシが配られていて、「京都みなみ会館の明日を考える」Facebookを知った。せっかくの設備なので、活用される道があれば良いのですが…。 

それでは、旧建物の閉館時、移転オープン時、最終閉館の昨日と、今まで撮った写真を並べていきます。

まずは、2018年3月31日に閉館した旧館の思い出から。

上部の看板の「LASVEGAS」は、1階で営業していたパチンコ屋の名前です。私が初めて行ったときは、まだ営業していた記憶があります。2008年ごろかな? つけている映画記録では、2009年の『人のセックスを笑うなリバイバルが最初に出てくる。

1階の外壁の表示。右端のが旧館のロゴでした。映写機から照らされたスクリーンに笑い顔。道路に面した駐輪場には、閉館日付近は、自転車やバイクがいっぱいだった。私もチャリで通っていたので利用してました。奥の階段から2階に上がります。

いきなり夜の写真になる。閉館日付近は観客が多くて、写真を撮るタイミングが難しかったのだ。これは閉館1週間前の2018年3月23日ですね。『パプリカ』を見ました。

AKIRA』のリバイバルもここで見た。爆音上映は、音響に関心が薄くて1回も行かなかったような? 体力がなくて、名物のオールナイト上映も一度も行かなかった。

階段を上がったスペースです。この時期は骨格標本がお出迎えしていた。こういうアングラ感が旧館の売りでしたね。

入り口すぐにチケット売り場。オンライン販売はまだなかったので、人気の閉館日付近はPeatexでネット前売りしてました。

グッズ売り場は、Tシャツから中古パンフまで小さなスペースにぎゅっと並べられていた。

推し俳優ジェームズ・マカヴォイの『つぐない』のパンフを探しあてたのも、ここでした。中古パンフ、実は欲しいものはそんなに見つからないので、あれは快挙だったな。空押しの美しい装丁でした。

シアター入り口の扉は、今までイベントに来た監督や俳優のサインスペースになっている。この扉は、新館にも持っていきましたね。

シアター横側の扉には、ゴジラ対メカゴジラのイラストです。これは新館には持っていかず。怪獣特撮映画の特集上映も多かった。一度も行かなかったけど…。

当時はスケジュールリーフレットを発行していたので、旧館の閉館前は、通路の壁に、過去のリーフレットがびっしりと貼られていました。

初号のトビラは『トレインスポッティング』。私は続編の『T2 トレインスポッティング』が刺さって、前作も好きになりました。みなみ会館では2作連続上映が何度か行われて、2017年7月に見ています。

途中で2色刷りからカラーになる。旧館時代は閉館まで発行してたんだったかな?ネット移行の時流に合わせて、新館では発行されなかった。

シアター内です。

ど真ん中に通路があるシアターは、ここしか知らない。座席の角度もうしろから前に傾斜する構造ではなく、真ん中が低くなっている独特の構造だった。昔は一般的だったのかな?

前寄りの座席で見ると、背中が斜めになるので眠りやすく……クロード・ランズマンホロコーストのドキュメンタリー『ソビブル、1943年10月14日午後4時』218分を見たときはめっちゃ寝た。申し訳ない。仕方ない。

クラシックで豪華な緞帳。入り口やロビーはアングラぽいのに、シアター内は正統派なんですよね。

緞帳を寄贈している巖本金属株式会社は、京都みなみ会館の親会社です。経営の変遷はWikipediaが詳しい。

ja.wikipedia.org

旧館閉館日の外観です。赤いネオンの下は駐車場になっていた。

この日は、『それぞれのシネマ』を見ました。カンヌ国際映画祭60周年を記念して作られた、有名映画監督の「映画館」をテーマにした短編集です。ラース・フォン・トリアーのがめっちゃ意地悪で、観客席から笑いが漏れていた。

建物はこのあと取り壊されて、新しい複合ビルになりました。

旧館時代の日々は、前館長の吉田さんのnoteにも書かれています。

note.com

さて、月日は流れ、2018年も残り少なくなった11月のこと。

旧館近くの鍼灸院に行ったときに、「前の建物の向かいにオープンするらしいですよ」と先生から聞きました。まじですか!さすが地元!と私は現場を見に行きました。

教えてもらった場所には、巖本金属株式会社の建物が!

地図上の位置はこう…と言いたいけど、Google Mapでは、旧館の位置も新館も「京都みなみ会館」になっていますね。九条通の南から北に移動したんです。元は銀行の建物だったらしい。

そうか、経営している巖本金属株式会社の建物なら安心して移転オープンできるな、と安心したんです。このときは。

 

オープン日は2019年8月23日と発表され、内覧会が催されるなど、本格的なリノベーションや超格好いい映画館になるという空気が伝わってきました。

architecturephoto.net

オープン式典は、京都市長まで出席して開かれた。

www.lmaga.jp

新生・京都みなみ会館です!

8月のオープン日は、『生きてるだけで、愛。』を見たのですが、雨だったので写真撮影は断念。これは10月2日の写真です。キッチントラックがハロウィン仕様になってます。『ドッグマン』を見た。

このキッチントラックは、みなみ会館とは別の経営だったようです。コーヒー安かったし、ホットドッグや焼きマシュマロことスモアなど季節にあわせたフードを売っていてありがたかった。が、コロナ禍で撤退して戻ってきませんでした。

入り口です。

入ってすぐのチケット売り場とグッズ売り場。

シアターが3つに増えて、1階にひとつ、2階にふたつに分かれています。

リニューアルでオンライン座席指定にも対応しました。夏に『東京裁判』を見ようと予約したのに、台風で行けなくなって、電話で別の日に振り替えていただきました。ありがたかったですね。

奥の壁には、上映予定のポスターがばばんと貼られている。この中だと『毒戦』はみなみ会館で見ました。

内部から入り口を見る。右の壁がお手洗いの入り口です。1階にも2階にもトイレがあって便利だった。

これは閉館日の同じ壁。

これまでみなみ会館で上映された映画のフライヤーがびっしりと貼られている。そう、旧館閉館時のスケジュールリーフレットの貼り方を踏襲しているのです。

ここから、オープン時と閉館時の写真が混ざっていきます。

閉館日のロビーには、『福田村事件』で舞台挨拶に来た森監督や井村新のサインが飾られていた。私はチケットが取れなくて、別の映画館で舞台挨拶を見ました。

1階シアター入り口。閉館日の上映作品が貼られている。一番広くて、イベント用の舞台もある。『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』では、金子由里奈監督のトークイベントとサイン会に参加しました。

写真がないのだけど、階段を上がったところに、旧館のサイン入り扉が飾られています。

旧館の名残は他にもあって、この九条通側の壁には、

元の建物のショーウィンドウ的なスペースに、緞帳が飾られている。

ロゴは、リニューアル時に映写機のピクトグラムに一新されました。各SNSアカウント画像もこのロゴだった。

2階のシアターには、外からアクセスする仕組みです。エレベーターもあって、バリアフリー仕様です。駐車場はなくなったけど、駐輪場はばっちりです。

階段の上には広いバルコニーがあり、喫煙スペースになっていました。グリーンの配置も素敵です。いつのまにか禁煙になり、植物も減っていましたが…。

ベランダから九条通を臨む。これは閉館日の写真です。

コロナ禍前、英国への旅行の手配をしているときに、予約したB&Bからの電話を受ける必要が出てきて、このベランダで電話を取りました。『ボーダー 二つの世界』を見たあとです。
閉館日に写真を撮っていると、その記憶がばーっとよみがえった。場所がなくなると、思い出が一緒に消える感覚がある。忘れたくないので、ここに書いて残します。

2階のロビー。シンプルな壁や天井に、映画のフライヤーやポスターを飾って、映画を引き立てているんですよね。
個人的には、和風じゃないデザインが好きでした。もうビル内の枯山水和柄の壁紙は見飽きている。

2つのシアターの入り口。

一番小さいスクリーン3の座席です。座席番号が刺繍されている!特注なんですよ。どこかで読んだ記事では、フランスの劇場の座席が最高だったので、同じものを作ってもらったそうな。スクリーン2が青緑色で、スクリーン1が真っ赤な座席だった。

2階のお手洗い。ピクトグラムがどれも可愛くて好きだったんですよね。

 

閉館日には、『アザー・ミュージック』の飾り付けがありました。NYで惜しまれながら閉店したレコード屋のドキュメンタリーです。

映画にまつわるグッズやポスターが展示できるショーケースもあります。

2019年10月の展示は『バイオレンス・ボイジャー』。どんな映画なのかも知らない。

こちらは閉館日のショーケース。『イノセンツ』、気になってたけど、見れなかったなあ。

最終日の入り口です。どこにも「閉館日」といった表示はなく、明日もあさっても映画が上映され続けるようだった。

16時ごろに行ったら、ロビーには巖本金属株式会社の社章をつけた方がいらっしゃって、観客に「写真撮りましょうか」と愛想よく応対されていた。これだけお金と手間と愛着をかけた映画館が、たった4年で閉館するのは、経営側こそ残念なのでは。

しかし、私は「そんなに経営やばかったんですか」と聞いてしまいそうで……いやもう、コロナ禍や他のミニシアターのオープンや、日本経済の悪化や円安、文化全般への国の支援のなさなど、内実を知らない人間にも理由は山ほど思い浮かぶのだけど、いまだに悔しいし悲しいです。

私は、年間5~10本を京都みなみ会館で見ていました。もっと鑑賞に来ていればと後悔したものの、私は億万長者ではないし、身の丈を超えた趣味は続かない。この年齢になれば、見られなかった映画、行けなかった場所、できなかった事柄が増えていくのだとはよく知っている。

閉館日の外観です。

最後に見たのは『偶然と想像』です。初見もみなみ会館だった。

3つの短編をまとめた映画で、最後の『もう一度』では、20年ぶりの同窓会に出席した女性が、ある女性と不思議な出会いをする。
ふたりは、大事な人との過去について「あのときに空いた穴が、私とあの人をつなぎ続ける」と語り、「あの人との大切な時間が、今も私の背中を押し続ける」と語る。

京都みなみ会館は、これからも私の欠落であり、私の祝祭の時間であり、私のかけがえのない思い出であり続ける。長い間、ありがとうございました。

最終日の上映前。
湿っぽい気持ちで別れたくなかったので、見たあとさっと出てきたら、帰り道で、映画を見たもの同士の穏当なナンパを見かけ……最後の思い出は、このナンパになりました。