3日目その2 ヌルラボイ宮殿とイチャン・カラ

宿に戻って、オーナーと翌日の空港行きのタクシーの確認をする。朝9時半発の飛行機に「8時出発で良いのでは?」と言われたけれど、7時半に予約。朝食は午前8時からで食べられないので、テイクアウトをお願いする。

さて、ふたたびのヒヴァ観光です。イチャン・カラ外に行きたいなとヌルラボイ宮殿に決めました。20世紀始めに商人ヌルラボイが寄進した建物だそうです。 

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城壁の外を歩く。街路樹の白いペンキは虫よけの薬らしい。桑の木が多くて花盛りだった。風が吹くと、白い花びらが雪のように舞っていた。暑くて道沿いの露天でソフトクリームを買う。300スム(4円)。

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宿から5分ほどで着きました。入り口で50,000スム(630円)を支払う。

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内部は広く、中庭・建物・中庭・建物の連続である。完全に修復・整備されている。ここも順路表示も何もないので、目についた扉や通路をどんどん進む。

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ブハラやサマルカンドでは凝った木工細工があまりなかったので、ヒヴァでたくさん見ておいてよかった。

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チャイハナでお喋りしていたスタッフ女性3人。民族衣装がきれいで撮らせてもらった。イチャン・カラ内のスタッフも女性ばかりで、みんなこういう衣装だった。似合っていて素敵。

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建物内部には、伝統工芸品の展示があった。昔からの技術や模様を受け継ぎながら最新のデザインにしているらしい。

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この辺りは販売品。スマホケースもある。前日に城内で見かけた木工細工の名刺入れを発見し、価格を尋ねたら前日の半額だったので即購入。45,000スム(570円)。前日見たときは店員さんに「これは自分のオリジナルで、ヒヴァらしい模様で」と売り込まれたのだけどな…(のちに別の都市でも見かける)。木工品で一般的なのはコーラン立てや箱、チェスセットなどで、材質はクルミの木が多いようだ。

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この2枚はイチャン・カラ内で売られていた木工細工です。彫刻を実演している店もあった。

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ヌルラボイ宮殿内には、ヒヴァの歴史の展示もあった。スタイリッシュで格好良かったが、英語が面倒でスルーした。

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ここが一番奥の中庭だ。広い! 独り占め!! わたしが王だー!!!(前日もやった)まじで観光客が私のみだったんですよ。

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柱や壁に埋め込まれている青い十字型タイルはゾロアスター教の文様。イチャン・カラでも使われている。

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野外キッチンもあったんで、結婚式や宴会場に使ってるんじゃないかな。

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出入り口に戻る。一番手前の建物にまだ入っていなかったはず…と思って近付いたら、スタッフがどうぞどうぞと扉を開けてくれた。なんと、ここの内装が宮殿のメイン・ディッシュでした。

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洋風、いやロシア風だーーーー!!

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陶器製のロシアの暖炉ペチカ!! 模様はアラビア風が残っていて、でもアールヌーボーでもあり…復元だから当時の要素がどこまであるかはわかんないけれども……

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……けれども、大変手がかかっていて美しいことはわかるよ!!! この部屋は六面体で、窓と窓のあいだに鏡が据えられている。

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壁から天井まで模様がびっしり。

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ソファのある部屋も。

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これは廊下のペチカ。実際に使えるのかわからんが、燃料を入れるドアもあります。タイルにも模様の凹凸がつけられている。

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天井には天使の絵があるので、キリスト教流入しているっぽい。この宮殿が建てられる少し前に、ウズベキスタンはロシアに支配された。美しいなと思う一方で、アラビアとロシアの融合美を単純に称えるのも良くないなと思う。気持ちの置きどころが難しい。

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寝室もあった。

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壁の模様は、寝室が一番細かった。シャンデリアもユニークだ。

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いやあ美しかったです。来て良かった。

イチャン・カラ内に戻り、昨日行けなかった施設に向かう。ヒヴァは小さな街だが、私の観光ペースはゆっくりで効率も良くない。迷ったりしなければ1日で見て回れるサイズだ。

まずは、クトゥル・ムラド・イナック・マドラサに行く。

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東京農工大学のウズベキスタンプロジェクトとしてやっている女性の自立を支援する店、Cocoonがある。リンク貼りましたが、サイトの更新は2015年で止まってるしコクーンのことは書いてないな……お店は存在しています! 前日に来たら閉まっていて、スタッフに「翌日はやってるよ」と教えてもらった。店に入ったら、マダムにすかさず「ジャパニーズ?」と訊かれてうなずく。

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おすすめはアドラス模様の布地で作られたマスコットで、マダムに「くまちゃん! ねこちゃん!」と教えてもらう。たしかに他の店では見かけなかった商品なので欲しい方はここで買うと良いかも。私はこの刺繍ポーチを50,000スム(630円)で購入。太い刺繍糸なので、見た目がモザイクタイルのようになっている。裏地もついてます。

続いて、前日も行ったクフナ・アルクへ向かう。見張り台への階段を見落としたので、リベンジするのだ。

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階段! 暗くてちっさい! 気付かなくても仕方ないよと自分を慰めながらのぼっていく。

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城壁です。砂の佇まいに慣れてきたな。

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見張り台はさらに上で、アクシェイフ・ババという名前がついている。

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のぼったら、城内の3本のミナレットがすべて見られる。

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北側の光景。城壁沿いで、右側に泊まっている宿が見える。左奥の観覧車はけっこう紹介されているのだけど、近付きもしなかった。もう一日あればああいう余白スポットにも行けるんでしょうね。

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見張り台の装飾です。2階は上がれなかった。

続いて、南門(タシュ・ダルヴァザ)へ向かう。こちらの方角は、観光施設が少なくて民家が並んでいる。外で遊んでいるお子さんが多かった。

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普通に迷うし人の生活の合間を歩いているのでどきどきしたが、お土産物屋やネットに載ってなさそうな宿もありました。
民家も土壁ばかりなので、城内の建築物と調和している。彫刻がほどこされた木の扉や柱も多かった。旅人をわくわくさせるしつらえなのだが、観光用に作っているのか日常生活に溶けこんでいるのか、また、景観条例的なものがあるのかはわからなかった。こういうことを知るために英語ができたら良いんですよねえ。

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シンプルな門。南のカラクム砂漠から来る旅人はこの門から入ったそうです。

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天井は焼成レンガで素朴だ。これで東西南北、すべての門を見て回れた。

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ふたたび民家のあいだを歩く。観光客が珍しくないとはいえ、じろじろ見られないから楽だ。ミナレットが自然に目が入る風景である。

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そして、イチャン・カラで最後の観光施設、パフラヴァン・マフマド廟に行く。このドームの場所です。何度も何度も目にしていたのだけど、入り口がわからなくて辿り着けなかったのだ……

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ここから入る。行ってみたら、なんで今までわからなかったんだ?と思うんだけど、どれも見た目が似ているので……

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門→前庭→廟になる。ここは共通チケットの範囲外なので1万スム(130円)を支払う。

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中庭にはヘイワクの泉がある。ヒヴァの都市名の由来でもあるらしい。オアシス都市だから余計に水が崇められる。

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靴を脱いで廟に入るとこんな光景が広がっている。ヒヴァでもっとも美しいタイルたちだ。

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細かいーーーーー!!!

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真正面にライトアップされた墓碑があるが、これは廟を作ったムハンマド・ラヒム・ハンという王のものだ。聖者の近くに埋葬されると来世で幸せになるので、この王の一族も同じ廟に入っている。墓碑はこのように小さな棺のかたちをしている。ウズベキスタンの有名イスラム教徒の墓では一般的らしく、このあと各都市で見ることになる。本物の遺体と棺は地下に安置され、メッカの方角を向いている。

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こちらがパフラヴァン・マフマドの墓碑。入れないのでガラス越しです。14世紀の詩人で哲学者でヒヴァの庇護者として尊敬されていた方だそうです。パフラヴァンは強者という意味。入り口の上のタイルにアラビア語コーランの一節が書かれている。

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反対側にも小部屋がある。補正しても写真が暗い。ISO800で撮影したけれど1600で良かったな。シャンデリアはでかいが明かりは奥ゆかしい。

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この小部屋にも墓碑がある。天井の細工も美しい。十代の少年たちが入ってきて、墓碑に紙幣を投げ入れていた。お賽銭みたいなものだそうで、他の廟でも見かけました。お祈りを捧げている方もいらっしゃった。イスラム教は一神教のイメージが強いので、聖人を敬う習慣があるとは知らなかった。

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中庭の左側の建物にも墓碑があり、パフラヴァン・マフマドの説明や当時の服装が展示されていた。

外に出て、お土産を買ったりとまたふらふら歩く。

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竹箒で爪とぎする猫ちゃん。背景になっているネスレの商品はウズベキスタンで幅を利かせていて、私もこのガス入りじゃないミネラルウォーターを買いました。

夕食はウズベキスタン風焼き飯と呼ばれるプロフに挑戦する。油が少なめでハーフサイズもやってくれるという店、Teahouse Farrukhへ。空いているのでチャイハナに座らせてもらう。

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この小上がり的な台ですね。ウズベキスタンでは街中にもベンチのように設置されている。靴を脱ぐと楽だ。

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左からプロフ、マンティとグリーンティー。5万5千スム(700円)。プロフは干しぶどうと人参の甘みが混じりあっていた。マンティは餃子みたいなので中心のヨーグルトソースをつけて食べる。食べやすかったのにまだ食欲が回復してなくて完食できなかった。無念だ。

20時半ごろ宿に戻って就寝。24000歩。

【おまけ】買わなかったお土産たち。 

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チェスセットは、木製でユニークな駒や盤が多くて、他の都市でも多かった。ウズベキスタンでは一般的なゲームなのか観光客向けの製品なのかはわからない。

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直筆の絵。他の都市でも買えるかなとスルーしたが、私の好みの素朴な水彩風景画はヒヴァにしかなかった。特に左側上段の絵は余白やぼかし方が好きで……なんで買わなかったんだ。でも写真に撮っておいて良かった。肖像画や細密画もありますし、木製の額も売っています。アートは日本より身近で盛んなのか、ブハラには画商もありました。

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民族衣装。攻撃力が上がりそうな刺繍や染めが施されている。日本の着物と違って、現地の方は普段着にも取り入れてらっしゃった。自然で素敵だったが、ジャパンで着るとちょっとしたパーティーに出席する人間にしかなれない。価格がわかんない時点で購入のハードル上がるよね。オーダーメイドで作ってくださる店もあるようだ。

写真に撮ってないお土産は他にもいっぱいありました。ナンの模様付けスタンプとか、人形の陶器とか、細かい彫刻のマグネットとか。日本じゃ買えない商品ばかりだし、ヒヴァは価格も安いです。価格交渉は面倒だけど、英語ができる店員さんは説明もしてくれるからあちこち覗いて尋ねてみると楽しいはずです。私は「ヒヴァじゃスザニは買わないので…」とスルーしたスザニ・センターに行かなかったのがとっても心残りです。